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志摩丸 | 船首
滝之浦湾の沈没船は父島の二見湾から空襲を避けて避難 していた船団で、昭瑞丸(東和汽船2720t)、志摩丸(大阪商船1987t)、辰栄丸(辰馬汽船1942t)、第八雲洋丸(中村汽船941t)、大功丸 (太洋海運897t)、第5利丸(西大洋漁業 298t)のいずれかと推測される。現地ではその水深から深沈と呼ばれており、船内には多数の弾薬などが見てとれる。志摩丸は1920年竣工の貨物船で水線長82.49m、幅11.89m で、レシプロエンジン900馬力、速力9.5(最大12)kt であった。


志摩丸 | ウインチ
手前には2基のウィンチが見えるが、甲板上をウィンチに伸びている細管が見えるので、おそらく蒸気ウィ ンチなのだろう。比較的古い装備で大正期の貨物船などに見えるが昭和期に入ると電動ウィンチが増えてくる。ウィンチの前に見えるのが船倉口のコーミングで、船倉内には貨物の残骸が見えている。


志摩丸 | 薬莢、爆弾など
剥き出しで転がっているように見えるが本来は木箱や木枠に収まってきちんと積み上げられていたはず。 様々な形状の爆弾が見受けられるが、尾部に安定用のフィンが確認できるものは航空爆弾だろう。小笠原諸島の父島には海軍の飛行場があったので、補給物件だったのではないだろうか。 小、中口径砲のものらしい薬莢等など円筒状のものも砲弾や爆弾などであろう。


志摩丸 | 船尾
崩壊した船尾だが自衛用の砲座などがあれば強固な基部などは確認できる可能性が高いので、おそらく本船には特設艦艇のような砲座はない。ビール瓶などが転がっている甲板面は崩壊しており船尾の構造物もあらかた失われているが、戦前の商船らしいカウンタースタンの船尾形状は明確である。深沈が志摩丸であれば、この直下に一軸の推進器が見えるはずであるがスクリューなどはなく引き揚げられてしまったようだ。(海底のレクイエム67:小笠原の深沈より)
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